先日、患者さんからお声がけいただき、琵琶の演奏会にお招きいただきました。
普段、施術を通して接している方の、演奏家としての一面に触れる貴重な機会となりました。
今回の演奏会をきっかけに、改めて考えたのが「楽器演奏と身体の関係」です。
音楽は技術や感性によって表現されるものですが、その演奏を支えているのは自分自身の身体です。
今回は、これまでの臨床経験も踏まえながら、楽器演奏と身体のコンディショニングについてお話しします。
楽器演奏は、想像以上に身体への負担がかかる
楽器の演奏では、指先の細かな動きだけでなく、姿勢を保つ力や身体のバランスも求められます。
長時間の練習や繰り返しの動作によって、次のような負担が生じることがあります。
- 首や肩に力が入り続ける
- 腕や手首、指先を繰り返し使う
- 同じ姿勢を長時間維持する
- 身体の一部に負担が集中する
本格的に取り組むほど練習量も増え、身体を酷使する場面も少なくありません。
演奏技術を磨くことはもちろん大切ですが、長く演奏を続けるためには、身体の状態にも目を向ける必要があります。
演奏時の姿勢や身体のバランスは、パフォーマンスにも関係する
演奏時の姿勢は、見た目だけの問題ではありません。身体の位置やバランスは、筋肉の働きや関節の動かしやすさにも関係しています。
例えば、首や肩に余計な力が入ったり、身体の一部に負担が偏ったりすると、必要な動きがスムーズに行いにくくなることがあります。
大切なのは、無理に背筋を伸ばすことではなく、演奏に必要な動きを妨げず、身体に過度な負担が集中しにくい状態をつくることです。
そのためには、姿勢だけでなく、筋肉の柔軟性や関節の動きの滑らかさ、身体全体のバランスが良い状態であることが重要です。
唄や発声にも、身体のコンディショニングが大切
琵琶の演奏会では語りとして、唄も重要な要素となっていました。
声を出すという行為は、喉だけで完結するものではありません。呼吸に関わる筋肉や体幹の働きなど、身体のさまざまな機能が関係しています。

発声を支える呼吸と腹圧
発声時には、呼吸を調整する働きに加え、体幹を安定させるための腹圧も重要になります。
腹圧を適切に働かせるためには、骨盤の位置や身体全体のバランスも考える必要があります。
ただし、骨盤の位置だけで発声が決まるわけではありません。呼吸や筋肉の働きなども含め、身体全体を捉えることが大切です。
喉に負担を感じる場合も、喉だけに注目するのではなく、姿勢や呼吸、身体の使い方を見直すことが役立つ場合があります。
楽器の種類が違っても、身体の不調に悩む方は少なくない
これまで私が施術してきた方の中にも、音楽活動を本格的にされている方が多くいらっしゃいました。
吹奏楽、ギター、ドラム、ピアノ、ボーカルなど、活動内容はさまざまです。
例えば、次のような身体の使い方が負担につながることがあります。
- ギター・ピアノ: 腕や手指の反復動作、長時間の演奏姿勢
- ドラム: 上肢や下肢の繰り返しの動作とその演奏の負荷
- 吹奏楽: 楽器を構える姿勢や呼吸の使い方
- ボーカル: 発声時の喉への負担や、呼吸・姿勢の問題
実際に、こうした音楽活動をされている方が、首や肩、背中、腕などの痛みや不調を抱えて来院されるケースを多く経験してきました。
もちろん、不調の原因は一人ひとり異なります。しかし、私自身の臨床経験から、楽器や音楽活動の種類を問わず、本格的に取り組んでいる方ほど、身体のケアにも目を向ける必要があると感じています。
練習には熱心に取り組んでいても、自分の身体のケアは後回しになっている方も少なくありません。
だからこそ、音楽活動を続けるうえで、身体の状態を確認し、必要に応じてケアすることも大切です。
音楽活動を長く楽しむために、身体のケアという選択肢を
演奏中に痛みや違和感があると、演奏そのものに集中しにくくなります。
日頃から意識したいのは、次のようなことです。
- 練習中も適度に休息を取り入れる
- 同じ姿勢を長時間続けないようにする
- 身体の痛みや違和感を我慢しない
- パフォーマンスや集中力の低下が見られる
当院では、筋肉・筋膜の状態に着目し、身体の動きやバランスなども確認しながら、一人ひとりの状態に合わせた施術を行っています。
痛みのある部分だけでなく、筋肉の状態や身体の使い方にも目を向け、動かしやすい身体や、パフォーマンスを発揮しやすい状態を目指します。
音楽活動をされている方にとって、身体は演奏を支える大切な土台です。
演奏を長く楽しみ、ご自身が目指す表現に集中するためにも、身体のコンディショニングを意識してみてはいかがでしょうか。
演奏会にお招きいただき、ありがとうございました

今回お招きいただいたのは、錦心流琵琶全国一水会 加賀支部の演奏会です。
由緒ある石川県立能楽堂で、琵琶の演奏に触れる貴重な機会をいただきました。関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。

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